『ジュラシックパーク・3』です。


 これは、典型的な「家族そろって」調の映画です。
 つまりは、「毒にも薬にもならない」映画でして、日本流に言うのなら「文部省選定」みたいな映画です(文部省選定とか特選がつくと奨励金がもらえる)。
 「1」「2」と比べるとかなり小振りで、やっつけ仕事みたいに感じました。


 穴が多いのも事実ですが、まず目に付くのは「スピノサウルス」ですね。
 どうみても、これは「バリオニクス」じゃないですか。
「バリオニクス」に背ビレを付けると、映画の「スピノサウルス」になってしまいます。
 劇中でも「バリオニクス?」という言葉が出てきますし、ラストは水辺での戦いですから、俗に「ワニ竜」とも言われている「バリオニクス」の方が自然ですし、たぶん、最初の脚本の時に設定していたのを「スピノサウルス」に変更したのではないでしょうか?
「バリオニクス」は、現在までに、一体しか発見されていませんから、「巨大バリオニクス」とでもした方が、ストーリー的にも良かったのではないでしょうか?
「スピノサウルス」は、アフリカの恐竜ですから設定が変ですし、第一、「ティラノサウルス」より大きなわけがありません。


 しかし、もともと「ジュラシックパーク」と名のっているのに、出てくる恐竜は全部「白亜紀」のそれですから、「1」の時から設定に無理があるのは承知の上です。
 白亜紀の生物で「ティラノサウルス」と対等に戦えるのは「アクロカントサウルス」と「ユタラプトル(巨大型デイノニクス)」です。
 もう少しうまい脚本を書くと良かったのにねえ。
 面白いと思ったのは、携帯電話の話ですね。これはうまい設定でした。
 特撮は、オーデイオアニマトロニクスだらけでしたが、あまり金はかかっていません。
 でも、日本では到底できないような特撮です。
 最初のオーデイオアニマトロニクスの作品『海底二万哩(マイル)』の頃よりは格段の進歩だと思いました。
 日本の特撮は今では世界の三流国です。
 日本の特撮関係者は、もっと勉強しなくてはダメだと改めて思う次第です。


 でも、『ジュラシックパーク』のこのシリーズは、このような調子でいつまでたっても終わりそうにありませんね。
 きっと、末永く「銭っこ」を稼ぐ手段として、この先も創り続けると思われます。
 これまた、何とも安直な展開になってきました。

2001年9月脱稿

(※本文中の敬称は略させていただきました)

著者紹介水野重康
49年、静岡県掛川市で100年以上続く医者の家に生まれる。
54年、『ゴジラ』を観て以後、映画にのめり込み、SFを中心として5000本近くの映画を観る事になる。
趣味を通じて、五味康祐氏、田山力哉氏、その他に師事する。
83年、生地に歯科医院を開業して現在に至る。

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