「ウルトラQ」雑感

水野重康


「やっと見ました・・ウルトラQ」と言う奴です。

まず最初に思いましたのは「ウルトラQ・ダークファンタジー」は「何を狙っているのかな・・?」と言う事です。

旧作「ウルトラQ」が「アウターリミッツ」を手本にした作品である事は有名な話なのですが、では今回は何でありましょうや?
「ガラゴン」の旧タイプ(?)である「ガラモン」の話が劇中に出て参りますので、旧作「ウルトラQ」の延長話の様にも見えますし、まるで違う世界の話の様にも取る事が出来ます。
只、旧作「ウルトラQ」を見ている人を対象にしているのは分るのですが、この一作を見る限りでは「作品の方向性」と言うものが少し分りにくい様に思うのです。

どうも第一作を見た限りに於いては「ダークファンタジー」の「ファンタジー」の部分が重要な要素として存在しているみたいですね。

でも、もしそうならば「?」てな感じですね。
大体、日本人と言うのは「ファンタジー」を作るのが「苦手」な民族なのです。

その事を踏まえた上で「敢えて承知の事柄」として「ファンタジー」の部分を強調した作品として行くのでしょうか?

「純ファンタジー」は作るのが結構難しくて、最初から「ファンタジー」として作ると大抵「ズッコケル」のですが、「シリアス」に作っておいて、最後の部分で「ファンタジー」を強調すると以外と簡単に成功する事がありますので「どうする、どう出るウルトラQ・・」と言う感じですね。
期待して見て行きましょう。

それから「旧作」はあくまでも「旧作」ですから「新作」を「旧作」の後追い的な作品にする必要はありませんし「新しいウルトラQ」で大いに結構だと思います。
「ファンタジー性」を重要視するのも良い事だと思います。

でも「方向性」だけは明確にしてほしいですね、それでないと「あぶはち取らず」的なわけのわからない作品になってしまうことが考えられますので・・。
しかし、何だかんだと言っても作品的にはなかなか見せてくれますね。これは「さすが・・」です。

次に、私なりに気になった部分を一つ二つ書いてみましょう。

1)エンデイングテーマ
2)配役

この二つです。

1)は全く「デシター」さんのおっしゃるとうりでして、もっと「ピリッ」とした曲を使うべきでと思いますね。

言うなれば演奏だけの「インスツルメント」の方が良いです。
「エンデイングテーマ」を良い曲にしますと「終りよければ全てよし」になりまして作品全体に「筋」が通ります。

2)は「草刈正雄」と「エンクミ」こと「遠藤久美子」に尽きます。
「旧作」では「江川宇禮雄」が「大博士」然としていまして、正に「はまり役」でした。「新作」では「草刈正雄」が「渡来博士」役ですが、多くの方はこの配役に「?」と思った事でしょう。

この配役は「謎解き」みたいな話になりますが、物凄く考えられた結果なのです。
結論から申しますと、「旧作」を踏襲した時、「渡来博士」の役は必然的に「草刈正雄」になるのです。
まずは二人共「ハーフ」だと言うことです。

そして「もう一つがんばれなかった二枚目」と言う部分です。

「江川宇禮雄」は父親がドイツ人でして生まれた時は「ウイリー」でしたが、家庭の事情で「ウレオ」から「宇禮雄」となりました。
「草刈正雄」は父親が米軍人でしたが朝鮮戦争で死亡した為、苦労して成長しました。

その辺りの関係から「江川宇禮雄」の後釜は東宝系の俳優でもある「草刈正雄」と言う訳であります。
この部分は分るのですが、問題なのは「トリック」の「阿部寛」ばりに「コミカル」な役に設定したことです。
これは「どうかなあ・・?」と思いますが。

さてさて、大問題なのは「エンクミ」ですね。
言ったら申し訳ないのですが「完全なミスキャスト」です。

SF物(?)のヒロインと言う役は物凄く大事な位置に在りまして、時には「作品の出来をも左右する」ことがあります。
なまじの「知名度」の有る「エンクミ」を起用よりも「無名の新人」を使うべきでありまして、極論いたしますと「新人で若くて存在感のある綺麗な子」を大抜擢すべきなのです。
言ったら悪いかもしれませんが、「アイドルと言うにはトウが経っていて、真のアイドルになり損ねた」様な「エンクミ」では「荷が重い」ですし、第一「エンクミ」は昔から「演技がドヘタ」です。
しかし、「エンクミ」には昔から「根強いエンクミファン」が付いているのもこれまた事実でありますから、まさかこのファンをターゲットにしているのでは無いでしょうね?

私の地方では「競艇」のコマーシャルに「エンクミ」を起用して「キョーテイハニー」等と言わせていますが、これはなかなかに「ハマッテ」いまして「GOOD」ですね。
「エンクミ」はこう言う風に使うと良いのでありまして、どの様なタレントでも適材適所に起用してやらなくてはいけないのです。


2004年4月

(※本文中の敬称は略させていただきました)

著者紹介水野重康
49年、静岡県掛川市で100年以上続く医者の家に生まれる。
54年、『ゴジラ』を観て以後、映画にのめり込み、SFを中心として5000本近くの映画を観る事になる。
趣味を通じて、五味康祐氏、田山力哉氏、その他に師事する。
83年、生地に歯科医院を開業して現在に至る。

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