猫好きな高校生と不良中学生 一

著者 否咲 

 母が旅行に出掛けた。

 海に行くらしい、どこかは知らない。

まあ海って言ったら一番良いのは沖縄だろう、きっと埼玉より涼しい。

 私、長谷川エミカは通信高校に入って三年目の夏を過ごしている。

毎日授業に出なくても、単位として取る科目の授業だけ出れば良い、というのが今通っている通信高校の特徴だ。

……もちろんテストもあるし、レポートもある。

 

「あー……世界史、やらなきゃなあ」

 

 今は夏休みのおかげで学校に行っていない、だが一方で溜まっていくレポートの束。

 

「……食料、買いに行こう」

 

結局その現実から目を逸らすことになってしまう、

いつも通りすぎて我ながら呆れる。

 私は立ち上がり、電子マネーの入ったカードを手に取りパソコンから離れた。

 私の部屋は二階にある、パソコンも自分専用があるため一階に下りる時はトイレか飲食か、あるいは外に出るときくらいだろう。

 階段を下りると、家族でもある猫の一匹、メイカが寄って来た。

と思えば今度は窓の傍に行きカリカリ、と引っかきはじめた。

 

「外? いいけど、ちゃんと帰ってくるんだよ?」

 

 通じているか通じてないか、わからないがとりあえずメイカに話し掛けながら窓を開ける。

我が家の猫は皆、外が大好きだ。

おかげで数日後になって帰ってきたことが何度かあって、母を心配させる。

 メイカが外に出ると、私は息を吐き、カバンを提げて玄関へ向かう。

靴を履き、外に出るとまばゆい日差しが私を照らした。

時間はすでに午後二時、だが日差しがアスファルトに照り返って、暑い。

まあ夏なのだからこれが当たり前なのかもしれない。

 

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