第三九章:早くも歯茎から出血2008年9月下旬
最近Amazon.comから25ドルのキャッシュバックがあった。私は自分用に欲しいものがあったのだが、送料を無料にするためには25ドル以上の買い物をしなければならず、何かもう一品ないかと思って検索してみたところ、ペット用品セクションで「The Purrfect DVD」という商品を見つけた。「Purrfect」とは、「Perfect(完璧)」と「Purr(猫がゴロゴロ喉を鳴らす音)」を掛け合わせた造語で、その名の通りこのDVDは猫用に作られたものだ。ユーザーレビューを読んでみると、かなり評判がいい。 しかし、生まれてこの方ずっと家猫だったフローラはまだしも、元野良で本物のリスや鳥を間近に見てきたみぬがこのDVDを喜んでくれるかどうか…などと思いつつ、どうせキャッシュバックとの引き換えなら無料も同然なので、このDVDを注文してみることにした。 数日後、DVDが手元に届いたので、早速再生してみた。内容は、公園内を走り回るリスと鳩、ケージの中のマウス、水槽の中の熱帯魚等の映像が数秒から数分ずつ交互に流れ、バックには引っ切り無しに鳥のさえずりが続き、水槽のシーンでは水音などの効果音が混じる…ただそれだけだ。機械的に単調な鳥のさえずりが数十分も続くと聞いている人間の方が頭が痛くなってくるが、バッグミュージックをピアノとフルートの静かな音楽に切り替えることもできるので、動物好きな私にとっても丁度いいエコビデオになる。 意外にも、みぬとフローラの反応は私が予想していたのとは正反対で、元野良のみぬが一生懸命画面に移る小動物たちを目で追い、時には猫パンチを喰らわせているのに対し、ずっと家猫だったフローラはそんなみぬを冷静に見ていた。 ところで、みぬの血糖値の方は、最近劇的な改善もなく、足踏み状態だ。ダイエットにも必ず停滞期があるが、糖尿病の改善にも停滞期があるのかもしれない。 それはそうと、6月に歯のクリーニングをしてもらって以来、週に3〜4回みぬの歯茎を綿棒で拭いてあげるようにしているが、実はあれからまだ3ヶ月しか経っていないのに、最近また綿棒に血がつくようになってしまった。やはり糖尿病の猫は歯周病になりやすく、逆もまた然りだ。最近糖尿病の改善が停滞しているのも、もしかしたら歯周病の影響かもしれない。しかし、そう年に何度も麻酔をかけて歯の治療をしてもらうわけにはいかないので、何とかならないものかと思っていた。 本当は毎日歯磨きをしてあげればいいのだが、みぬが嫌がるので、今までは歯周病菌に対する殺菌効果を期待してクロルヘキシジンリンスを綿棒に染み込ませて歯茎をこする程度にしていた。しかし、それでもみぬは嫌がるし、これだけでは不十分だったようだ。 もっと効果的な方法はないか…と考えてみたところ、以前にFelinediabetes.comの掲示板で、ペット用の口腔スプレーがよく効いたという書き込みがあったのを思い出した。その書き込み自体は大分古いものなので、今検索しても見つからないのだが、記憶は曖昧だが確かその口腔スプレーとはPetzlifeのオーラルケアスプレーのことだったと思う。 原材料を見てみると、主原料はグレープフルーツシードエキスらしい。 実は、このグレープフルーツシードエキスが最近Dr. ホジキンスの猫糖尿病フォーラムで話題になったことがあった。様々な菌に対する抗菌作用を示し、しかも天然素材で安全であることが謳われており、実際猫の歯周病を含む様々な感染症のケアや自分自身の病気予防にも役立てているという人がいる一方で、グレープフルーツシードエキスの抗菌作用は、実はその中に含まれる合成防腐剤によるもので、グレープフルーツシードエキス自体には抗菌作用がないという論文も発表されているのだ。 実は私もグレープフルーツシードエキスには興味があったのだが、謳われている効果があまりにも夢のようで信じがたく、そしてその効果には否定的な意見も多かったので、使うのを躊躇していた。 しかし、どうしてもみぬの歯周病に対して効果的なものを見つける必要性に迫られ、改めてこのグレープフルーツシードエキスを使えないかどうか考えてみた。実際市販のグレープフルーツシードエキスの原材料表示には合成防腐剤は記載されていないが、たとえその効果が密かに使われている防腐剤によるものだとしても、歯磨きに使うのは薄めた液をほんの少し綿棒に染み込ませて歯と歯茎に塗りつける程度だ。実際何の問題もなく内服し続けている人や犬猫もいるわけだし、歯のクリーニングに使う麻酔にしろ、ペット用の歯磨き粉やデンタルリンスに含まれる薬剤にしろ、大量に使えば危険なことには変わりないわけだから、ここでグレープフルーツシードエキスを試してみても大丈夫なのではないか? そう思った私は、火曜日の夕方仕事が終わった後、自然食スーパーに向かい、グレープフルーツシードエキスの濃縮液を買ってきた。まず、自分でその安全性を確かめてみることにした。ラベルでは、内服する際には人間の成人は5〜10滴、子供は1〜6滴を水やジュースに混ぜて飲むことが推奨されているので、私はその日の夜、ミネラルウォーターに5滴ほどエキスを混ぜて飲んでみた。水が若干苦くなった以外特に何事も起こらず、結局無事朝を迎えることができた。 「飲んでも大丈夫なんだから、ごく少量を歯に塗るくらい大丈夫だろう」 そこで、今まで使っていたクロルヘキシジンリンスの代わりに、グレープフルーツシードエキスの希釈液を綿棒に染み込ませてみぬの歯を磨いてみた。みぬはいつも通り頭を抑えられて口の中に綿棒を入れられることを嫌がったが、クロルヘキシジンリンスと比べるとそれほど嫌でもないようだった。クロルヘキシジンリンスより刺激が少なくて、受け入れやすかったようだ。そして、数日後には歯茎からの出血もなくなった。尤もこれはグレープフルーツシードエキスの効果というよりは、みぬが比較的嫌がらなくなったことで歯のケアがしやすくなったお陰かもしれないが、この調子なら、これからもしばらく続けてみる価値はありそうだ。 ところで、話は変わるが、5年前にみぬと私を出会わせてくれた東欧出身のおじいちゃん(「みぬとままの出会い」参照)がとうとう会社を去ってしまった。おじいちゃんの80歳近い高齢を考えると、近々この日が来るであろうことはわかっていたが…。 最近おじいちゃんは東欧の母国で過ごすことも多く、一緒に仕事をする機会も少なくなっていたが、数年前まではたまに一緒に出張に行ったりもしていた。一番思い出深かったのは、みぬが私の家に来て数ヵ月後の冬、うちの会社で開発中の薬の臨床試験のため、ウィスコンシンの小さな町のクリニックを訪れたときのことだ。セントルイス空港でレンタカーを借り、おじいちゃんが運転し、私は助手席で地図を見ながらナビゲートし、一面雪で覆われた何もない道を2時間かけてこの町まで向かった。夜は宿泊先のモーテルに近接したレストランで(ウィスコンシンにありながら、何故かレストランの名前は「アリゾナ」だった)、地ビールを飲みながらみぬの近況について語り合った。 「猫が私の顔の近くで寝ると、ゴロゴロ喉を鳴らす音がすごく大きく聞こえるんですよ。まるでイビキかいてるみたいなんです。」 翌朝仕事先のクリニックを訪問したとき、おじいちゃんは「これ、猫のために」と言って、クリニック内の睡眠障害センターからパンフレットを持ってきてくれた。見てみると、「Sleep apnea(睡眠時無呼吸症候群、イビキもその症状の一つ)」と書いてあった。 おじいちゃん、みぬと出会わせてくれてありがとう。幸せな第二の人生をお祈りします。 週末の朝、ゴミを出そうと思ってドアを開けると、向かいのお宅の窓が黒猫や骸骨などハロウィーン仕様に装飾されているのが見えた。 みぬの異変に気がついて病院に連れて行ったのが、丁度去年のハロウィーンの日。糖尿病発覚から早くも一年が経とうとしている。 9月15日から9月21日まで一週間の血糖値曲線。緑色が正常範囲で、黄色が高血糖でも症状が出ないとされる範囲。青い四角はインスリンを注射したことを示す。
9月22日から9月28日まで一週間の血糖値曲線。緑色が正常範囲で、黄色が高血糖でも症状が出ないとされる範囲。最近朝食欲がなく、草を食べて草だけ戻すことがある。昼以降になると食欲が旺盛になるため、同じ用量のインスリンを打っても、血糖値が下がりすぎたり、逆になかなか下がらなかったり、コントロールが難しい。季節柄毛玉が溜まっているのかもしれない。
インスリン用量スライディングスケール 9月29日〜 血糖値(mg/dL) 投与量(IU) 135-150------ 0.60 強 151-170------ 0.80 171-200------ 0.80 強 201-250------ 1.00 251-350------ 1.00 強 351-500------ 1.20
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