海行かば

海行かば 水漬く屍
山行かば 草生す屍
大君の辺にこそ死なめ
かへりみはせじ

海行かば

葦原の 瑞穂の国を 天下り 知らし召しける 皇祖の 神の命の 御代重ね
天の日嗣と 知らし来る 君の御代御代 敷きませる
四方の国には 山川を 広み厚みと 奉る みつき宝は 数へえず 尽くしもかねつ
しかれども 我が大君の 諸人を 誘ひたまひ よきことを
始めたまひて 金かも たしけくあらむと 思ほして 下悩ますに
鶏が鳴く 東の国の 陸奥の 小田なる山に 黄金ありと 申したまへれ
御心を 明らめたまひ 天地の 神相うづなひ
皇祖の 御霊助けて 遠き代に かかりしことを 我が御代に
顕はしてあれば 食す国は 栄えむものと 神ながら 思ほしめして 武士の 八十伴の緒を
まつろへの 向けのまにまに 老人も 女童も しが願ふ
心足らひに 撫でたまひ 治めたまへば ここをしも
あやに貴み 嬉しけく いよよ思ひて 大伴の 遠つ神祖の その名をば
大久米主と 負ひ持ちて 仕へし官
海行かば 水漬く屍 山行かば 草生す屍
大君の 辺にこそ死なめ かへり見は せじ
と言立て
丈夫の 清きその名を 古よ 今の現に 流さへる
祖の子どもぞ 大伴と 佐伯の氏は 人の祖の 立つる言立て
人の子は 祖の名絶たず 大君に まつろふものと 言ひ継げる
言の官ぞ 梓弓 手に取り持ちて 剣大刀 腰に取り佩き
朝守り 夕の守りに 大君の 御門の守り 我れをおきて
人はあらじと いや立て 思ひし増さる 大君の 御言のさきの聞けば貴み
 
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